Twitterで話題になった記事がSEOに影響するか調査してみました

この個人ブログは、一ヶ月も新規エントリが無かったりもする零細個人ブログですので、アクセス数もわずかです。しかし、広告も置いていませんし、私が関わるサイトの中で唯一アクセスを稼ぐ必要が無いサイトですので、あまり気にせずに運営しています。

このブログに2010年10月、11月にエントリを3つ公開したのですが、その記事によるアクセス推移が非常に興味深い物になりましたので、個人サイトでしかしづらい、アクセス数晒しをしつつご紹介してみようと思います。

12月のデータ

下記は、Google Analyticsによる2010年12月のトラフィックデータです。 12月全データ 一日300-400セッション前後で安定しています。 直帰率の高さが異常ですので、サイトのデザイン見直しや回遊用の導線を作るべきと思いつつ、いつでもできると、結局2年近く放置しちゃっています。

では、12月の検索からのセッションのみのデータをみてみましょう。 12月検索流入 流入の9割近くが検索エンジンからの流入で、自然検索流入にたよったサイトとわかります。流入のほとんどが流入1-2で、テールワード流入が主となっています。

この12月中にはまともな記事も公開せずにいましたので、この状態が今のサイトの「素」ということになるでしょう。

10月、11月のデータ概要と公開記事

さて、では本題です。 記事を公開していた10月、11月はどうでしょう。10月、11月のトラフィックデータが下記です。 10月11月トラフィック 12月と比べてわけが分らないデータになっています。 これは、下記の記事を公開した結果のデータです。

最初の記事は、Twitterのrelpy関係仕様が変わっているのを見つけて1時間ちょっとで慌ててエントリにしてみたところ、はてブ300件超、Twitter言及600前後、最大1日1万アクセスを貰った記事でした。 次の記事はその3日後、前の記事で足りないところを補足説明した記事です。こちらはしっかり考えて3時間位かけて書いたのですが、現在はてブ17とあまり注目されませんでした。

最後の記事は11月になってから、当時日本で一番普及していたAndroidケータイ、Xperiaのアンドロイドのバージョンが2.1にアップされるタイミングで公開した、おすすめのAndroidアプリを30個紹介したまとめ記事です。自分が使っているAndroidアプリをリストアップしてコメントをつけた、ある程度時間をかけた記事だったのですが、はてブは21と振るいませんでした。ただ、[android2.1]やその掛け合わせを中心としたキーワードからの流入がずっと続いています。

アクセスデータの最初の山が10月10日の記事で、増加分は殆どがTwitterからの流入となっています。この記事は、Twitterの仕様変更を扱ったもので、Twitter以外ではほぼ話題とならなかった記事なのです。

11月にある小さな山が11月9日の記事で、直後の増加分の多くはGoogleQDFによるアクセスです。

さて、ではこの3記事によるアクセスの変化をもう少し詳細を含めてみていきましょう。

Twitterで話題になった記事によるアクセス変化

最近、Googleはもう既にTwitterのリンクをWeb検索順位に影響させているという発表がありました。

小規模個人サイトには滅多に無い、Twitterからの大量リンクを受けたこのサイトのアクセスがどうなっていたかを見ると、Twitterからのリンクの検索への影響力を推測する事ができるかもしれません。 下記が、10月11月の検索流入の推移です。 10月11月検索流入 グラフの山の場所が違いますね。

分りやすいように、10月11月のアクセスデータと検索流入をならべてみましょう。 10月11月、アクセス数と検索流入比較 ご覧の通り、10月の2記事でTwitterから大量リンクが張られた後、ほぼ検索流入が増えていません。

これをもう少し分けて確認してみましょう。 下画像は、10月のTwitterで大きく言及された記事公開前後2週間のセッション数(上)と、検索流入の変化(下)です。 10月の記事公開前後2週間 やはり、Twitterでの言及が跳ねたタイミングと、検索流入はほぼ一致しません。 アクセス数でみましても、2-4日続いたTwitterでの言及が終わると、元の数値に戻ってしまっています。

こちらは、11月のTwitterからのリンクはあまり受けていない記事公開前後2週間のセッション数(上)と、検索流入の変化(下)です。 11月の記事公開前後2週間データ こちらは、2-5日のGoogleのQDFと若干のTwitterでの言及が終了したタイミングでアクセス数は減ったものの、元の流入にまで減らずに検索流入は1日100前後底上げされた状態を保ち、これは年が明けた今でも続いています。

このデータだけで推測すると、2010年10月段階ではTwitterからのリンクがWeb検索の順位に対して、直接的な大きな影響力を持っていなかった可能性が高いと考えられます。

2つの記事、『Twitterだけで大きく話題となった、コンテンツ内容が薄い記事』と、『少ししか話題とならなかったものの、コンテンツの内容としては豊富な記事』を比べますと、2、3ヶ月では、圧倒的にTwitterで大きな話題となった記事がアクセス数が多い状況です。実際、10月から12月末までのPVで言いますと、Twitterで話題となった記事が23,502PV、まとめ記事は7,916PVでした。 しかし、このまとめ記事は、ほぼ毎日100流入程度のアクセスを得ています。この記事の情報がユーザに対して価値ある情報である限り、合計アクセス数も数ヶ月後には逆転する事でしょう。

Twitterでの話題の、Web検索への価値

Twitterでの話題はWeb検索に全く意味が無いのか、というと異なるデータもあります。

下画像は、Googleウェブマスターツールでの「クロールの統計情報」のデータです。 クロールの統計情報 10月の記事がTwitterで話題になった途端、スイッチが入ったようにクローラの訪問数が数倍になっている事が確認できます。 実際に新規ページが検索結果に出るタイミング、旧ページを更新した時の検索結果への反映は早くなっています。 このブログは、過去にも一応の被リンクや数十前後のはてブTwitterでの言及は得られていましたが、ほぼクローラには影響をしていませんでした。今回の爆発的なTwitterでの言及の後、初めてクローラ訪問数が増えていました。

このクローラ動向の変化が、Twitterでの言及を原因とするのかは、確証は持てません。Twitterでのアクセスだけではなく、このタイミングで一気に張られたTwitter周辺サービスからのリンクなど、多くの変化があったからです。 しかし、Twitterで話題となる事によって発生する「なにか」がクロール頻度を早めた可能性が高い事は確かではないでしょうか。

個人ブログでのTwitterSEO

結局、今回のデータで確証が取れる事は殆どありません。 なによりもデータとして少なすぎますし、このサイトは個人ブログにしてはいくつか変な事をやっている特殊性もあります。12月以後Twitterの扱いが変わっている可能性もあるでしょう。 仕事で確認している他データや最新データも含めますと、さらにいろいろと考察はできるのですが、ここでは紹介を控えさせてもらいます。

しかし、Twitter「だけで」話題となるコンテンツを狙う事で、自然検索流入の大幅な拡大に結びつける事は難しい事は確かではないかと思います。

もちろん、Twitter「だけで」話題となるわけではなく、Twitterを仲介して様々なサイトからの話題となって、被リンクを得られるコンテンツについては今回の例とは違う動きになるでしょう。間接的な効果も含めると、TwitterというWebサービスが自然検索流入に影響を与えるのは確かです。

ただ、既に知名度がある人以外、Twitterで話題となるコンテンツを狙って量産する事は非常に困難です。 一方、11月の記事のようなまとめ記事のように、自分が詳しいジャンルについての多くの情報を、検索市場と検索キーワードも意識して公開することは、手間はかかりますが簡単です。あまり知られていない個人ブログがアクセス数を増やすためには、やはりこのような記事が一番の近道ではないかと、私は思います。

最後に、今回ご紹介した記事は、多くの方にTwitterはてブなどでご紹介頂いたおかげで、上でご紹介した面白いデータを見る事が出来ました。今後もこのサイトで面白いデータが出てきたら紹介させてもらいます。 どうもありがとうございました。