サポート詐欺をGoogle広告が拡散/実際に表示された詐欺誘導広告を100以上集めました

サポート詐欺とネット広告

サポート詐欺の被害拡大が大きな問題になっています。

サポート詐欺は様々な手法でパソコンの不調を警告する画面をPC上に表示させ電話をかけるように煽り、サポート費用としてGoogle PlayギフトカードやiTunesギフトカードを買わせて支払わせたりPCの遠隔操作で振込をさせて、お金を奪う詐欺です。

この詐欺自体は昔からあるものですが、増加したようで2023年9月末には消費者庁も注意喚起を行っています。

www.caa.go.jp

また、夏以後に日本各地の警察も注意喚起を始めた他、様々な報道機関やネット媒体がその問題を報じ続けています。

しかし、サポート詐欺への誘導は続いています。

サポート詐欺誘導は、主にネット広告経由でPC不調画面に誘導していると考えますが、ネット広告で圧倒的なシェアを誇るGoogle広告がサポート詐欺誘導の広告を多く出し続けている事が被害拡大の一因となっているのではないでしょうか。

このサポート詐欺誘導の広告が本格的に見られるようになってから8ヶ月、消費者庁が注意喚起してから3ヶ月が経過しました。

この問題を減らすためにウェブサイト運営者側で出来ることはわずかです。また消費者側への警告も、あまりリテラシーの高くない方には届きづらいものです。

被害を大きく減らすためには、Googleなどのプラットフォーム側が対処を行うしかありません。

プラットフォーム側が十分にコストをかけて対処をすればすぐに小さくなるはずです。それにも関わらず広告でのサポート詐欺誘導は続いています。それは大きな問題と言えます。


サポート詐欺誘導は、Google広告やX/Twitterの広告、一部Google検索連動広告など様々な手法が確認されています。

私はこの問題を注視してきました。サポート詐欺誘導広告を確認すると画像保存しており、一部をX/Twitterにポストしています。

from:tsuj サポート詐欺 - 検索 / X

この記事では、2023年9月から12月の間に実際に表示され、サポート詐欺に誘導されているのを確認したGoogle広告をご紹介します。

サポート詐欺誘導のGoogle広告例

食品シリーズ

初期に話題になった、特定の食品の危険性や効能を煽った広告です。

 



有名サイトを装うシリーズ

食品関連でしたら、ネット広告に慣れた人なら少し気をつければ騙されないでしょう。しかしこのように既存の有名サイトを装った広告も多く表示されており、判断は困難です。

ニュース・時事問題シリーズ

ニュースや時事問題についての広告も多く表示されていました。災害報道を装う偽広告も多く悪質です。

福島関連・処理水関連フェイクシリーズ

非常に多く表示されている処理水海洋放出に関連して偽画像などで誤った危険性を煽る広告です。

繰り返し表示されることで多くの人に誤った知識を印象付けかねない、悪影響が大きい状態と考えられます。


 

レシピシリーズ

レシピ情報を装った広告も見られました。多くの人が興味を持つ食事の情報があるように見せかけられていますが、クリックするとサポート詐欺です。

出会い系サイトシリーズ

出会いサイト・マッチングサイトを装った広告も一時非常に多く表示されました。出会いや愛を求めてクリックしても、その先にはサポート詐欺しかありません。

とにかく注目させるシリーズ

何の情報かはよくわからないものの、とにかく注目を集める訴求の広告です。通常の広告では滅多に見ない、とにかく幅広い人にクリックさせる内容ですので目立ちます。

おそらく多くの人の注目とクリックを集め、被害を生んだのではないでしょうか。

意味不明1

よくわからない広告です。

内容精査もせずに大量に広告を出し続けていることがよくわかります。

意味不明2

ラブライブ?NHK WORLD?米が終了?

どうしてこうなった……

サポート詐欺誘導ネット広告の問題

130ほどの広告をご紹介しました。これだけの広告が過去3ヶ月で実際にGoogle広告として表示されていたのです。

今回紹介したサポート詐欺誘導広告は、これでも実際に表示された広告の一部でしかありません。私のサポート詐欺広告保存フォルダにはまだまだ多くの画像があります。

私も取材協力いたしました12月14日に放送されたテレビ朝日の報道によりますと、実際には亡くなっていない有名人の訃報を装った広告もあったようです。これは私でもクリックしてしまいそうです。詐欺広告はどんどん進化しています。

news.tv-asahi.co.jp

またこの報道によると、コンビニ店頭での声掛けなど水際対策が進む中「子どものギフトとして買う」と答えるよう指示もされているそうです。

詐欺側の改善が急速に進む中、プラットフォーム側の対策はなかなか本格化しません。


今回はGoogle広告を紹介しました。

これらは全てGoogleが直接審査したものではなく、Googleが提携したアドネットワークから流し込まれている広告です。しかしGoogleのネットワークで配信されており、Googleであればどうにでもできるはずです。Googleに大きな責任があります。

そして、Google広告以外のネット広告でも、同様の広告は表示され続けています。そして多くの被害者を生み続けています。

www.yomiuri.co.jp

読売新聞によると、警察庁のまとめでは今年上半期に1,214件のこの詐欺による被害が確認されたとのことです。おそらくは下半期には大きく増えていることでしょう。そして警察に確認されていない被害もかなりの数になるでしょう。

多くの詐欺被害をネット広告が生み出している。そのことをネットに関わる人間はもっと重大に捉えるべきです。大手プラットフォームの詐欺広告問題をもっと非難すべきです。

 

Google及びプラットフォーム各社が悪質な広告の対処に真剣に動くことを、心から期待します。