2022年もSEO周りでは沢山の変化がありましたが、検索エンジン周りの全ての情報を追うことは不可能です。
この記事では、2022年の検索エンジンの変化の中で「Webに関わる多くの人が知っておくべき変化」と私が考えます5つのポイントをお届けします。
「2022年 検索エンジンの変化」押さえておきたい5つのポイント
検索結果がよりリッチに
これは、12月31日段階のGoogleの[観葉植物]検索結果です。
モバイル検索では表示されていた検索結果へのサムネイル表示が、2022年の頭からPC画面でも多く表示されるようになりました。
このサムネイルは、検索語句によってはクリック率に非常に大きな影響を与えます。特に検索結果で自分のサイトの前後のサイトにサムネイルが表示されている場合は、その有無だけでクリック数は2~3倍に変わることも多いです。
このサムネイルでどの画像をGoogleが使うかを明確に指示することはできません。ただ、og:imageの画像が使われることが一番多いようです。
文字中心のものは選ばれづらいなどいくつかの傾向がありますが、基本的に「正方形にトリミングされる」ことを前提に、よりわかりやすい写真を指定しておくことが必要です。
良いog:imageは検索結果だけではなく、DiscoverやSNS上での注目など多くの効果があります。
自分のサイトの運用状況に合わせて、ぜひ良い形のサムネイルを意識した画像掲載をご検討ください。
検索結果のローカライズが進む
昔からGoogleでは[ラーメン]と検索をすると近くのラーメン屋を表示するなど、検索結果はローカライズされていますが、その傾向は更に強化されています。
2021年までコロナ関連の検索語句にしか現れなかった「ローカルニュース」枠も2022年からは多くの検索語句に現れました。
こちらは2022年から[選挙][火事]に現れたローカルニュース枠です。
[ニュース][火事][選挙]など明らかに地域情報が求められる検索語句以外にも、[ワールドカップ]などの検索でも地元での盛り上がりについての情報が表示されました。
このローカルニュース枠は、Googleニュース対象サイトのみが表示されるため多くのWeb担当者には影響はありません。
ただ、ローカルニュース以外でも検索結果のローカライズ傾向は更に強まり、たとえばDiscoverでのローカル記事の表示確率が増えるなど様々な形で強化が続いています。
地域情報を発信されている場合、検索エンジンにどのエリアの情報か判断できるように、市町村名・都道府県名を(できればtitle要素へ)記載することをおすすめします。
Googleのモバイル検索結果 デザイン変更
2022年10月、Googleはモバイルの検索結果のデザインを大きく変更しました。
サイト名の表示やFaviconの拡大など大きな変化ですが、サイト名はサブドメインのサイトの場合表示されませんし、意図した内容に調整するのはなかなか困難な場合が多いです。
ただ、Faviconは多くのサイトでは簡単に設定できるはずです。
Faviconはサイトをご存知の方に気づいてもらえる価値があります。よく知られたサイトではFaviconを望ましい形に変更するだけで、目に見えてクリック率を伸ばせています。
このFavicon表示は既にPC環境にも反映するテストも行われているため、早々にはPCにも反映されるものと思われます。もし熟慮された状態で設定されていませんでしたら、直ちに検討をおすすめします。
望ましい内容などは2019年に週刊はてなブログに私が寄稿した記事がありますのでご覧ください。
今回の検索結果のデザイン変更は、数年ぶりの大きな検索結果の変更といえるでしょう。更に英語のモバイル検索結果では、2022年12月に更に上部のデザイン変更が行われました。
2021年にはモバイル環境での自動スクロールも実装されたことが記憶に新しいです。検索結果の主な機能の部分を大きく修正されることは滅多にありませんが、それが直近では続けて行われています。
検索結果での表示のされ方はそのままクリック数を大きく影響します。
自分のサイトの主要ページが問題ない表示になっているかどうかは、定期的に確認されることをおすすめします。
Google Mapsへの動線強化
年々、検索からのGoogle Mapsへの誘導が増加する傾向にありますが、今年は更にそれが進んだ一年と言えます。
年初に行われた検索結果に表示される地図のデザイン変更など、強化が続いています。
お気づきの方も多いと思いますが、2021年までは非常にわずかしか無かったGoogle Maps上での広告が増えました。
Googleは年々売上・利益を伸ばすことを市場から求められている中、検索数自体は減ることは無くても大きく増える事もありません。そのため検索以外で、これまで広告枠の少なかったGoogle MapsやDiscoverへの広告枠の拡大が行われることは当然でしょう。
その流れの中、Google検索等の大きなシェアを背景にGoogle Maps等の別サービスへの誘導を強化することは(独占禁止上の課題はさておき)当然の動きとは言えます。
ローカルビジネスが重要な企業でしたら、Google ビジネスプロフィール等の対応の重要性は来年以後も拡大すると考えられます。うまく活用していきましょう。
寄生サイトに暗雲
2022年の頭にこのような記事を公開しました。
この「寄生サイト」の手法の是非やリスクはこの記事をご確認頂きたいと思いますが、2022年後半、Googleは本格的にこの手法に対して本格的な対応を進めだしており、今後は更に大きな動きもあるものと思われます。
どうかこの手法を正しくリスクの説明なく勧める悪質な業者に騙されることがないようご注意ください。
検索エンジンの変化への向き合い方
以上、5つの注目すべきポイントを紹介しました。
他にも沢山の変化がありました。PAA枠の増加、度重なるCore UpdateやSpam Updateなど新機軸のアルゴリズム更新、Microsoft Bingのシェア拡大とSitemap更新Pingの対応終了など、いくつでも挙げられます。
ただ「検索ユーザに求められる価値を出し続けている」のでしたら、ほとんどの情報は無視してもアクセスは伸びるはずです。
「サムネイルやFaviconなど新しく求められる要素」「ローカル重視の流れ」など大きな変化だけには注意しつつ、今後も価値を高める事に注力していきましょう。
(なお、クロールやインデックス段階のテクニカルな要素が重要な巨大サイトや特殊なサイトの担当者でしたら話は別です。今後も沢山の細かい変化を追いかけ続けて、楽しく翻弄され続けましょう。私もインターネットの片隅で笑顔で溺れる日々を2023年も続けることにします。)
個人的な2022年の振り返りと来年の抱負
以下は知人向けの個人的な内容です。
色々な形で関わってくださった皆様のお陰で、今年も一年、充実した仕事が出来ました。どうもありがとうございます。
昨年から株式会社so.la、一人会社での活動を主にしています。
いつも手一杯ですが、おかげさまで仕事は順調ですし、いくつかの新しい仕事でも期待された以上の価値を出せていると思います。関わるサイトも増えまして、いっとき落としていた日本の検索シェアも5%前後に戻せました。
お客さまには2023年もより良い価値を提供できるよう頑張ってまいります。
ここ数年、大手検索エンジンには単なる便利さだけではなく、社会のインフラとしての信頼性が求められるようになりました。
検索エンジンに強く関わるSEOの専門家として、その変化をどのようにお客さまの成果に結びつけるかは重要で大きな仕事です。
ただそれ以外に、検索エンジンの「社会のインフラとしての信頼性」をより望ましい形にすることもSEOの重要な仕事だと私は考えています。
私にとって2022年はそのような活動が色々な形で増えた一年でした。安全な生活のために必要な情報が問題なく検索されるようにするSEOの専門家としての仕事だけではなく、調査協力や勉強会など様々な機会で公益に資する活動が求められることが増えています。
そのような活動は収益にほぼ結びつきませんので、私以外には精力的に行いづらい事と思います。自分の役割として日本のインターネットや検索結果がより良い状態になるために2023年も積極的に取り組んでいきます。
今年はなかなか公私共に慌ただしい一年になりました。自分はあの病気に感染することもなく健康に一年を過ごせましたが、家族の急病などで今年後半以後は慌ただしい時間が多くなっています。
その中で11月には新事務所に引越しまして、来客や社員採用も可能なスペースもできました。今後、より多くの価値あるWebサイトの成長に貢献出来る形、また自分の体力の限界が来る前に意欲のある若い人に仕事を引き継げる形を考えたいと思っています。
このあたりは出会い次第ですので「焦らず諦めず」を2023年の抱負にがんばっていきます。
(「本気で」SEOの仕事に取り組みたいという方とお会いできる機会を楽しみにしています!)
2023年もどうぞよろしくお願いいたします。