SEO会社・SEO業者の評判は、変わらず最悪です。
私はSEOの専門家として仕事をしていますがまっとうなサービスを提供しているつもりです。独立後7年になりますがお客さまから解約を希望された事は2度しかありません。しかし初対面の方にSEOとして自己紹介すると悪質業者のように扱われることも多いです。それは悲しいとは思いますが「当然」とも感じています。
「当然」といいますか、望ましい事というのが正しいでしょう。いまのSEO会社は悪質な会社の比率が高いままです。SEO会社ガチャを引いても良い会社をひく確率はSSRを引くような確率。SEO会社とみたらまずは疑ってかかるのが正解です。この状況はもう十年以上続いていますし、これからも続くでしょう。
このような状況にどう向き合うべきでしょうか?
少しでも被害者を減らせればと思いまして、この記事では微妙なSEO会社の事例をご紹介します。
(注:弊社では現在十分にお仕事頂いており新規の仕事はお請けしておりませんので、お問い合わせなど頂いてもお応えできません。)
SEOと人工リンクサービス
SEOの手法として、人工リンクが使われることは多くあります。
価値あるリンクを受ける事で検索順位に有利に働く事は周知の事ですが、人工リンクはそれを偽装するために順位上昇を目的としてリンクを張る事で順位を上げることを目指す行為です。それは、Googleのガイドライン違反として対処されるため、多くの場合では逆効果になる手法です。
以前と比べて逆効果になることが増えましたので減りはしましたが、いくつかのSEO会社ではいまだにそのサービスが提供されています。
私はこの記事で人工リンクの是非について語るつもりはありません。Googleは禁止していますが違法行為ではありません。企業サイトなど、ドメインを替えづらいサイトではリスクと効果では圧倒的にリスクが大きいため私は使いません。ただSEO会社がそのリスクを正しく顧客に説明した上で人工リンクを使うのであればそれは否定しません。
しかし大きなリスクを把握しつつ隠して知識の薄い企業を騙す詐欺的な営業行為は許されないことです。また、その人工リンクを提供するために他のウェブサイトやウェブサービスに大きな被害を与える行為も悪質です。
特に、その被害が多くの人に価値ある情報を提供するサイトや、公共団体のサイトに向けられるならば、その問題はより大きな事になります。
そのような問題を起こすSEO会社はいまも存在しています。
悪質な人工リンクサービスの実例
これは、ウェブマーケティングを提供する株式会社ジオコードの人工リンクサービスの紹介ページです。
このページでは、この会社の人工リンク施策としてどのようなサイトからリンクが張られるかを説明されています。
ここで提示されているような人工リンクは、確かに昔は非常に効果的でした。人材や金融などSEOが活発な領域では大手企業の大半が人工リンクを利用していた時期もあったほどです。
ただGoogleのアルゴリズムが進化した今では効きづらく、かつ逆効果になる可能性も高いものです。
このページは、もう何年も前に確認ができなくなった嘘のPR(ページランク)を記載して売っているなど複数の場所で数年前の時代遅れの説明をしていることから、SEOの最新状況を全く把握していないか、騙す気いっぱいかどちらかのサービス紹介ページと言えるでしょう。
ただ、大きな問題はこの画像の部分ではありません。
人工リンクのリスクは、リンク元サイトとリンク先サイトが検索されづらくなるペナルティを受ける事にあります。リンク先である悪質なSEOサービスに発注した会社は少し可哀想ですが、リンク元サイトは同社保持サイトですのでここが検索されなくなってもインターネットにとって良いことであっても悪いことはありません。
しかし、この会社が特に悪質なのは、リンク元について説明したこの部分です。
NPOサイト・国民連動コンテンツ
NPOサイト・社会貢献コンテンツタイプ
NPO法人の社会貢献情報からの人工リンクを張る、と説明されています。
「公益団体ドメイン」にある「社会貢献コンテンツ」を人工リンクとして使う、と宣伝しているのです。
これは、公益団体による社会貢献関連情報を検索されづらくする、社会的に悪となる行為と私は考えます。
いまから10年ほど前、地方自治体など公共団体の広告枠からの人工リンクという手法が一般的に使われ大きく問題視されていなかった時期があります。しかしそれは「地方自治体に迷惑をかける」ことはなかったためです。その当時は、リンクを販売しているサイトであってもGoogleが地方自治体のようなサイトに対してペナルティを与えた事例が確認出来ていなかったのです。
しかしそれは、2010年頃に状況が変わりました。地方自治体のサイトであってもGoogleから警告がされるようになり、リンク購入サイトだけではなく販売元の自治体サイトへもペナルティを与えたと思われる状況も確認できるようになりました。
公共性があるサイトであってもペナルティを受けるようになった結果、ほとんどの地方自治体ではリンク販売は止めましたし、まともなSEO会社もそれを利用することは取りやめました。
公共団体、公益性を持った団体の情報発信を妨げるモラルのない行為を行う会社は流石にSEO会社であってもわずかでした。
しかし、それを2018年の今でも行い続け、堂々と公開・宣伝しているのがこの会社なのです。
SEO会社がその利益のため、NPOなど公共団体の情報発信を妨げることが許されるべきでしょうか。
私はその行為には強く反対します。そのようなモラルの無いSEO会社は全力で糾弾しなくてはならない、そう考えます。
今回のページをインターネット・アーカイブで確認すると、ここ数年ずっと公開されていたものですが2018年に大きく内容をリニューアル、詳しく説明されるようになりました。これは昔から放置されているページではなく、この一年以内に新しく更新されたページなのです。
先にも申しましたが、人工リンクをサービスとして提供しているSEO会社は多くあります。しかし大きなリスクがあると検索エンジンから警告され続けている人工リンクを提供する事が問題視されることも増え、最近では多くの会社ではそれを表で公開せず裏メニューとしてこっそり販売しているようです。
そういう中でこの会社はいまだに公開しているわけです。モラルやお客さまのリスクの問題を認識していれば、このようなことをは行わないはずです。
この会社は、2019年のマザーズ上場を目指していると公言しています。
ほかでもいくつかのSEO会社が近日中の上場を目指しているという噂は聞きます。その中の数社は明らかに問題をもった会社です。上場企業の看板を得て更に多くの公益団体や企業に被害を与える状況が生まれてしまう事は非常に悲しい事です。
実際に上場が承認されるのかはわかりません。上場までには多くの人・会社が関わって様々な段階を踏むことになります。どうかそのどこかでインターネットへの善意を持った人が警告を発して、事業の健全化が行われるか上場が止まるかしてほしいと考えます。
悪質なSEOサービスに騙される会社とは
SEOサービスを提供する会社は減りつつあります。
最盛期に比べると7割の会社はサービスを終了したのではないでしょうか。ただし微妙なサービスとして昔から名を馳せていた会社の多くは生き残っています。
Twitterやブログなどでもそれらの企業による被害者の声は時々目に入ります。
だいぶ前にしたSEO業者(新宿・梅田にある会社)に、また騙されてた。。
— 山口克志「グッチ」 (@gucchi_rakuto) September 20, 2018
検索順位も全く上がらず、営業マンが嘘ばっかりだった。
違う人が担当だと連絡があり「規約に基づいてやってました」の一点張り。
大きい会社だからといって信用なんてできないなぁ。
失敗って、本当にいい勉強になる!!
これは「新宿と梅田にある」「大きい会社」とだけ記載され会社の実名は書かれていませんのでどこの会社のことかはわかりませんが、似た話は定期的に話が出てきます。
私はSEO会社から受けた被害の相談をいただく機会が多いのですが、その際によく出る企業名は7年前からあまり変わりません。悪質なSEOサービスを提供している会社は、変わらず売上を上げ続けています。
悪質なSEOのサービスは人工リンクだけではありません。最近ではコンテンツSEOという触れ込みの微妙なサービスも増えました。
日本語のウェブ環境に日々コンテンツが増えている中、簡単に作るゴミ記事で検索から集客しつづける事は難しくなっています。
もちろん多くの方に役立つ素晴らしいコンテンツを公開すると検索流入に繋がりますが、SEO会社が中小企業の予算にあわせて安価に作るコンテンツが価値ある検索集客に役立つことは稀です。
しかしクラウドソーシング等で1記事数百円で調達した記事を10倍以上の価格で納品する事業を続けている会社は減ることはありません。
このような会社、悪質なSEOに騙されるのはどのような会社でしょうか。
それは、ウェブマーケティングのリテラシーが低い会社に限られています。
「SEO会社には多くの悪質な会社が含まれる」ことは、ウェブマーケティング界隈では常識のようになっています。冒頭でも書きました通り、私もそれは正しい事と思います。しかしその常識を知らないような会社、インターネット関連の知識に乏しい会社が騙され続けています。
最近では、東京など都市圏では騙せる会社が減ったため、地方の小企業が主にターゲットとなっているようです。
村のひとが月X万円、7年契約という悪質っぽいSEO会社につかまってるくさいんだけど誰に相談するのが良いんですかね。消費者庁とか?https://t.co/5fi02V69Ls
— 田畑直 | 百森 (@sunaotabata) September 26, 2018
開設されたばかりのWebサイトを探し、まだ悪質な会社の免疫が無い状態で連絡をして詐欺としか言えないサービスを販売する会社。
インターネットのリテラシーが低い零細企業をターゲットにして、正確にリスクを説明しない騙しの電話営業をする会社。
そんな会社は非常に多くあります。
これまでインターネット上でそれらの会社を告発、警告される人は大勢いらっしゃいましたが、それにもかかわらずそれらの会社の悪質な活動は今も続いています。
どうにかそれらの団体が活動しづらいようにしたいのですがそれは難しい事です。多くの人の力がなくては不可能な事でしょう。
最後に
この記事を読まれた方にひとつ、お願いしたいことがあります。
わたしはこれまで何度か悪質な会社の警告をしておりますが、その都度面倒な目にあっています。ただそれでもやはり警告は続ける必要があると考えてこの記事を公開しました。
それは、インターネットの入り口に立った企業を守ることは極めて大切な事だと考えているためです。
希望を持ってインターネットでのビジネスの入り口に立ったひとたちを出迎えるのが詐欺師だらけ……そんな現状は健全ではありません。
そのような被害を減らすために多くの人に警告したいのですが、おそらくこの記事はそのような人に読まれることはありません。
この記事を読まれている貴方は普段から積極的に情報収集をしている方の方が多いでしょう。そのような方は怪しい会社には騙されません。
微妙な会社がターゲットにするのはこういう記事を読まれない方です。ネットでの情報収集をせず、まともなセミナー等にも参加しない方が、世の中の大半ということが現実なのです。
そういう人たちを悪質な企業から守ることは本当に難しい事です。新聞やテレビなどで大きく扱われる以外ではそのような方に警告が届きません。
私が強く願います事は、この記事を読まれるようなみなさまが騙されがちな方を助けてほしいという事です。
知っている方が新しくインターネット上での商売を始められたら、ぜひとも下記をアドバイスしてあげてください。
「これからすぐに怪しい会社からの営業が沢山かかるが、ほぼ全て怪しい会社なので契約するべきではない」
「迷ったら信頼できる詳しい人に相談するべき」
悪質な会社に騙されて、インターネットの入り口に立った企業を絶望させ、大きな可能性を持ったインターネットから離れてしまう会社が多くあることは社会にとって大きな損失です。
悪質な会社が活動しづらくなるような状況を草の根で作っていくことをお考えいただけましたら幸いです。