Out of Tokyo Vol.1「地方ウェブ担サミット」で話してきました

地方Web担サミットの様子 10月20日、名古屋で開催されたOut of Tokyo Vol.1「地方ウェブ担サミット」で話してきました。

私は広告/Webの仕事を札幌で始めました。テレビ番組制作から始まって各種広告制作に広げた後Webに特化、その中でSEOを学び実践した2002年から2007年の5年間です。

5年で仲間やお客様から色々なことを学んだ後に東京に出てきましてSEOに特化したのですが、今の自分があるのは地方での経験のおかげです。地方で成長した者として、できる範囲で地方で仕事をされている方の支援ができればと考えていましたので喜んで登壇させていただきました。

私のセッションは「地方×SEO」というテーマで、地方の小さなWeb制作会社のSEO担当として行ったことをSEOの専門家になった今の知識で振り返って紹介しつつ、地方で一人担当として出来るSEOについてお話しました。

成功事例としてお話した中で「SEOのためにリスティング広告を活用した」という事があります。アンケートで要望もありましたので、少し解説させてもらいます。

7年前のリスティング広告SEOへの活用

2005年頃の話です。 ある観光地名での検索での上位表示が前提となったWebサイトがありました。その情報サイトはしっかりと作ったつもりですし、リンクされやすいようなコンテンツも持ちました。しかし立ち上げたばかりのWebサイトを初期で見てもらう事は難しいものです。当時はソーシャルメディアもあまり使われていませんでしたし、無名の私には宣伝する手段もありません。しかし見てもらわない事には自然発生リンクは有りえません。

そこで私は、初期露出にリスティング広告を試すことにしました。 当時リスティング広告は今のように活用されておらず、私もあまり経験がありませんでした。この案件でも初月に1ヶ月分として考えていた予算の8割を最初の2日で使っていて、血の涙を流しつつ自腹で補填、などもありつつも、そこそこ落ち着いた後に色々と試行錯誤を始めました。

その中で試みたのが「リンクしてくれそうな人に集中してコンテンツを見てもらう」ための活用です。「このサイトについて」のページ(*1)を見てくれる人をリンクしてくれそうな人と仮定して、流入経路を確認すると流入キーワードに一定の傾向がみられました。当初想定していたリンクをしてくれそうな人は、その観光名所に訪れた後でブログを書こうとしている人です。流入キーワードは検索しそうなキーワードでもありましたので、実施してみようと決心。 お客様に許可を取った上で「ブログを書こうとしている人」に響くようなタイトル、説明文でそのキーワードに集中して出稿することにしたのですが、確実に被リンクの増加が行えました。

結局、その観光名所の指名キーワードで3位に入るのに半年は掛かりました。そこでリスティング広告は停止したのですが、自然にアクセスが集まる順位でしたので、1年後には公式サイトを抜いて1位になる事になります。

その後、私がその運営会社を去って更新も止まったわけですが、それから5年は1-3位を維持。サイト開設から7年経った今も1ページ目にいます。

*1:「このサイトへのリンクについて」というページを別に独立させておいた方がもっと良いデータが取れそうでしたね。今はなかなか見てもらえないページですのでこのままですと少し難しいですが、今ですとシェアボタンをコンバージョンとして、流入経路を確認するのが一番でしょう。

地方でないと出来なかった仕事

上で書いた試みはまだWebの仕事を始めてから3年目、SEOを知ってから2年目の私が行ったものです。SEOの考え方の基礎は本のお陰で身についていましたが、当時はSEO会社も札幌には無く相談相手もいませんでしたし、リスティングの使い方も独学でしたのでかなり微妙でした。アクセス解析Apache Log Viewerという今考えると微妙なツールを使っていましたので、今のように把握しやすかったわけではありません。 しかし、だからこそ型にはまらない使い方を思いつけたのではないかと考えています。

そしてそれを実行できたのは、お客様になんでもやらせてもらえていた環境があったからです。これは営業がお客様からしっかり信頼を得ていた事が大きいですが、丸投げしてもらえやすい地方独特の環境があったおかげもあります。

今回紹介した施策以外にも、セミナーでは様々なSEOの取り組みについてお話しました。SEO以外でも様々なWeb制作を行いましたが、その内のいくつかは今考えても非常に素晴らしい施策でした(いくつかは穴を掘って記憶ごと埋めてしまいたい失敗もありましたが……)。

地方での仕事は、本気でやれば何でもやらせてもらえる自由さがあったと思います。もちろん東京でもそのような環境はあるでしょうが、それは地方の方がより近いと考えています。

このように書きつつも、私は実際には地方を離れて東京に出てきていますし、それが正解だったと思っています。全領域の仕事ではなくSEOに特化するためには、東京でのメリットはあまりに大きかったです。 しかし、しっかりとお客様と向き合って仕事をしたいのであれば、地方での仕事はデメリットばかりではありません。 私は地方で仕事をしているときは、東京での仕事に比べて大きく不利で、劣った事しかできていないのではないかという不安をずっと持っていました。それが全て正しいわけではなかったことは、地方を離れて東京で仕事をして始めて知ることができた事です。

もちろん、真剣に仕事をすることが前提です。真剣に仕事をしているのであれば、地方での仕事は決して不利でも劣ったものでもないということを確信しています。

ただ、大きなデメリットもあります。特にトッププレイヤー達の考え方に触れる機会が少ない点は大きい部分でしょう。しかしその問題は、私が地方で仕事をしていた頃に比べて今は小さいのかもしれません。 今はソーシャルメディアで情報を発信する人も多いですし、地方でのセミナーを積極的に行われている団体や人もいます。

Out of Tokyoでも今後も今回のような地方でのセミナーを継続されるとのことです。お近くで開催されるときはぜひとも参加してみてくださいませ。

私も今後、地方の方々の前でお話させて頂く機会があれば、喜んで参上したいと考えています。近日中に告知させてもらいますので少しおまちください。

ありがとうございました

当日、会場でご参加頂いた方にはとても感謝しております。どうもありがとうございました!

笑いをとれた事だけで安心しております。「笑えたけども内容は覚えていない」となっていなければ良いのですが…… 懇親会でも様々な方のお考えに触れる事ができて、私も地方で頑張られている方々に少しでもお力になれれば、という思いを新たにしました。 近くでお話する機会がありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

また、この機会を下さったOut of Tokyoのスタッフの方々にも心から感謝しております。今後も何かお力になれることがありましたら御連絡下さい。

なお、私の次のセミナーとしては、直近で申し訳ないのですが11/8(木)のWeb担当者Forumミーティング2012Autumnになります。 今回と全く違う内容になりますが「悪質なSEO業者が非常に多くなった現状でどうSEOに取り組むべきか」という事を、SEOの人向けではなくWeb担当者の方向けに45分お話させてもらいます。

私は首都圏のオープンな場所で話すのは今後控え気味にするつもりですので、よろしければご検討くださいませ。 6日現在まだ申し込みを受け付けているようですし、私以外にも非常に興味深そうな話が目白押しです!