栗本薫さんの訃報

5月26日、栗本薫さんが亡くなりました。

当日はただただショックを受け、ショックを受けている自分にも戸惑っていました。大好きだった遠藤周作さんが亡くなったときには全く受けなかったショック。

私にとって栗本薫さんは、人生に最も影響を与えた作家のひとりで、生活の一部でした。中学生の頃に読み始めて以来、出版される本の殆どを読み続け、300冊強が今も家に並んでいます。

「物語」・「文章」として、栗本薫さんの著作が最高のものではないことは確かです。ただ、私には栗本薫さんの物語が必要でした。 栗本薫さんの物語には、確かに救いがありました。そして、それは私には必要なものでした。メディア9、レダ、時の石などのジュブナイル作品群と一緒に成長して、ゲルニカ1984、滅びの風、などの「滅び」をテーマにした作品群に人生を考え、多くのSF・推理に血を沸かせて育って、救われてきました。

たぶん、まだネットが一般的ではなく「パソコン通信」だった頃からネットに浸かったのも、栗本薫さんのおかげでした。モデム買おうと思ったのは、「NiftyServeで天狼パティオに参加したい!」という意図でしたので。たぶん、栗本薫さんが居なかったら、あと数年はネットに触れるのが遅かったでしょうし、そうだったら今の私はネットの仕事をしているのかもわかりません。

最近では、あまり熱心な読者ではありませんでした。気づくと数冊出てきて、読むのもちらほらとになりだしていて。それは、もう物語に救われなくても自立できるようになったという事なのでしょうか。しかし、確かに私は栗本薫さんの文章を血肉として育ってきました。

きっと、私はこれから何度も何度も栗本薫さんを思い出す事でしょう。好きだった作家としてではなく、導いてくれた恩師、育ててくれた親を想うように。

ご冥福をお祈りいたします。