タイ全裸の株式会社DYMが評判の隠蔽に使った7つの手法

2016年3月、社員旅行で訪れたタイ国ホアヒン、タイ王室ゆかりの地にて社員数十名が全裸で騒いだ件が株式会社DYMの評判としてネットで話題になりました。

タイの王室保養地で、日本人20人が全裸狂乱事件…国際問題に発展、タイ国内が騒然/ (魚拓)

さて、この話題はどのように検索結果に表示されているでしょうか。 4/10と4/21に[DYM]と検索した結果を見比べてみましょう。 dym1

赤枠が事件を紹介した記事です。4/10に5枠あったものが2枠に減りました。 そのかわりに現れた表示がこちらです。 dym2

前回このブログでは、DMCA申請が悪評隠しに悪用されたと思われる事例をご紹介しました。 そして今回も本来クリエイターの著作権を守るためのDMCA(デジタルミレニアム著作権法)が、タイ国での騒動という株式会社DYMの評判に影響するのを隠そうと悪用されたものだと考えます。

この株式会社DYMは、ネット上での悪評隠蔽を事業として行っています(魚拓)。調べてみますと、このDMCA活用以外に様々な方法を使って自社の悪評隠蔽を行っていた証拠が見つかりました。

この記事では、どのような方法を使って株式会社DYMが悪評を検索結果から消していたのかを7つに分けてご紹介します。

株式会社DYMが評判隠しに使った方法7つ

7つありますので、簡単な紹介です。 もし詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、別記事で詳細解説いたしますので、Twitter等でリクエストをお待ちしております。

微妙なDMCA申請

最初にご紹介したDMCA、デジタルミレニアム著作権法に基づく申請です。 DMCAとは?ということについては、私が書いた記事で説明していますが、一言でまとめますと「主にインターネット上での著作権侵害に対応するための米国の法律で、この申請を行う事で著作権侵害ページを早々に検索結果から排除できるもの」です。この仕組自体はクリエイターを守るために必要なもので素晴らしいしくみですが、悪質な団体による悪用が目立っています。

さて、今回のDYM社がどのようにDMCAを使っているかを見てみましょう。

どのようなDMCA申請が行われたかはインターネット上で公開されています。「株式会社DYM」が実名で申請したDMCAを確認しますと、沢山出てきました。 今回、申請が出されていたのは下記のページです。

DMCA申請の内容は、ロゴ画像やコーポレートサイトのキャプチャや文章を「無断引用」したというものが主ですが、興味深いのは、「弊社のプレスリリースを無断引用し掲載」したとしてDMCA申請をしているケースもあることです。(1 2 3 4)

「弊社のプレスリリースを無断引用し掲載」ということ、「無断引用」という段階で「引用」の意味が間違えていますが、そもそもプレスリリースを紹介すると著作権違反というのは???と不可思議な申請です。 プレスリリースを紹介することが本当に著作権侵害とは思っていることはないでしょう。これは『悪評削除のためのDMCA申請の悪用」目的と考えられます。

この申請の結果は、申請フォーマットが誤りだらけということもありまして、多くは無視されています。 しかし、実際に「プレスリリースを無断引用」したとして申請されたエキサイト株式会社によるエキサイトニュースの記事(魚拓)が検索結果から削除されてしまっています。 dym3

今のDMCAの仕組みは非常に問題ある状況ですので悪用しようとすると簡単にできます。ここを突いて株式会社DYMは悪評隠蔽に活用しています。

複数のドメインでのサイト立ち上げ

次の方法です。前の項目が長くなりましたので簡単に。

1つの検索結果では1つのドメインは多く表示されづらくなっています。 そのため公式サイトをひとつしか持っていないと、検索結果では9件がコントロールできない非公式サイトということになります。検索結果をコントロールできるページで埋めるためには、公式サイトのドメインを分けることが有効です。

株式会社DYMがどのように分割しているかはちょっと検索してもらえますとすぐに何十ドメインと発見出来ると思いますが、例えばBingでこう調べると簡単ですね!なんか変なサイトもいっぱい出てきますけど詳細を調査しちゃだめですよ!

Webサービスへの高圧的連絡

タイ全裸事件が話題になったタイミングで、このTwitterまとめがネット上で多くシェアされました。

(魚拓)DYMの悪評をソーシャル上に書くと、会社員なら社長にクレーム電話/フリーなら弁護士連絡という噂 - Togetterまとめ このリンク先は魚拓です。元記事は消されています。

更に、ここではない複数のWebサービスの話を確認できましたが、削除申請や発信元情報開示申請として相当高圧的な形での削除要請が入るとのことでした。

おかしい削除要請は無視する立派なWebサービスもあるようですが、面倒だと全て削除してしまうサービスが有ることは仕方がないことと思います。

たとえばNAVERまとめを確認しますと4/21現在は数十記事がGoogleのキャッシュに残っていますが、クリックすると全てが消されています。

特に国内WebサービスへDYM社の評判、悪評を書いた場合、DYM社はすぐに消スために動いていることは確かでしょう。

Webサービスへのスパム投稿

Webサービスへの投稿が行われて、消しきれない場合はどうなるのでしょうか。その場合はWebサービスへの攻撃が始まります。

Yahoo!検索では検索結果にYahoo!知恵袋が差し込み表示されます。Googleでは、Googleマイビジネスとしてクチコミが表示されます。 これらに対する削除申請も行っているようですが、なかなか消しきれていないようです。 その場合、悪評を良い評判で押し流すために、大量投稿を始めます

Yahoo!知恵袋の場合

Googleマイビジネス クチコミの場合

dym4 3/14段階では92件の悪評があったものの、コメント付きのレビューは全て削除されています。その後、連続した★5つのレビューなどもあり平均点は上昇しています。

恐怖を感じさせる連絡

国内企業が運営するWebサービスに悪評が投稿された場合には、上記のように削除されます。 では、このような理由ではなかなか削除されないTwitterやFacebookや、レンタルサーバで行う個人ブログの場合はどうなるでしょうか。

この場合、メールや電話などで連絡が始まります。

会社員の場合は、消されるまで会社の広報窓口や社長への恫喝的な連絡があります。この件はなかなか証拠が残りづらいのですが、周りにSEO会社の方、特に業界経験が長いSEO関係者がいましたら確認してみてください。悪評記事をRTした人の会社にまで怒号の連絡が入った事件などを覚えている人もいることでしょう。

そして、会社員ではない場合には色々な側面から脅す連絡が入ります。 私が確認したものでは「記事を消さないとあなたが親しい人に対して危害が及ぶ」としか読み取れない連絡すらありました。実際にそういう連絡を数点確認しましたが、どう読んでも社会的な団体が行う連絡では無い内容です。

そして更には

直接訪問

こうなるわけですね。

深夜の訪問は証拠を残せなかったのですが、弊社は自宅件事務所として営業しておりますし、昼の3名での訪問だけでも高圧的な口調に非常に強い恐怖を感じました。 それ以後、外出するときは警戒が欠かせません。

訴訟

上記の連絡は、記事を消さなくては訴訟を行う、という言及も含まれています。

この段階で大きな出費が必要な訴訟を恐れて消されてしまうのですが、消されなかったケースもありましてその場合は実際に訴訟になるようです。

「ブログ名の設定は、まだ。」へのSLAPP(スラップ)‐SEM酒場

7つ以外の方法

上記は、ひとまず公開できる7つの方法です。 その他、様々な方法を使ってどうにか悪評を消そうとしているようです。

株式会社DYMには今回のタイ全裸事件の前から様々な逸話があります。しかし、それらを検索結果で見ることはほぼありません。それには、このような方法が使われていたわけです。

「Googleは使わない、SEOをしているから」そんな言葉は、一部のジャンルの検索においては明らかに正しい選択といえるのです。

おわりに

さて、この記事では、株式会社DYMが評判、悪評を消すのに使った方法7つをご紹介してまいりました。

ここまでお読みの方にはお分かりの通り、ほとんどの事が明確に証拠が残っていることです。そのほとんどはインターネット的、社会通念的に問題有る行動ばかりですのでその証拠を掲載したこの記事もDYM社の悪評でしょう。 ある意味、これまでの悪評記事を大きく上回る悪評かもしれません。

これまで様々な悪評をどんどん消してきた会社です。 きっとこの記事もどうにか消そうとしてくるでしょう。

さて、ここでクイズです! この記事はどのように消されるでしょうか!? ぜひツイートで予想をお寄せください。当選者の中から抽選で1名の方に豪華景品をプレゼントいたします!

さぁどれでしょう。 DMCA申請は行いづらい記事のはずですし、Webサービスに対しての連絡もレンタルサーバのさくらインターネットしか関係していないため難しいでしょう。直接訪問はすでに実施済み、私は悪いことをしていませんので訴訟も難しいでしょう。 そうなると本命は最後の2つとかになるのでしょうか……

正解発表はこの記事が消去された後で、筆者のTwitterアカウントで公開する予定です。 正解が訴訟の場合は、訴訟の行方を随時実況でご報告する予定ですが、最後の2つになった場合は物理的に発表できない場合がありますこと、予めご了承くださいませ。

発表日は未定ですが、どうぞお楽しみに!

蛇足:記事を書いた理由

多くの方にお伝えしたい事は以上です。ここからは蛇足、SEM界隈の方向けに、どうしてこのような記事を書いたのかを追記しておきます。

本件は、2016年3月からTwitter等で何度か言及してきました。 上で書きました通り恐怖を感じる事もありましたし、いろいろと面倒な事も増えました。 なぜそんな被害を受けながらもまた攻撃されるだろう記事を書いているか、不思議に思う人もいらっしゃるかもしれません。

某社では「成功している会社で嫉妬されているので」「競合つぶし意図だ」などと社員に説明していると聞きましたが、冗談でしょう。

あの会社とはそもそも顧客層が違うので一度も仕事でぶつかったことはありません。 被害を受けた会社からの相談は多く受ける機会がありましたが、業界の責任かと無償で相談に乗っていましたので全く利益になっていません。

そもそも弊社はご紹介などで十分にお仕事を頂いております。社員2名の小さな会社ですが多くの日本を代表するWebサイトの方々と仕事をさせていただいており、SEO会社として顧客サイトへの検索流入ベースでは日本一のはずです。お問い合わせを頂いてもほぼお断りしている状況で他社を蹴落とす意味がありません。

個人的には、タイ国でマナー違反の行為を行ったことがそこまで悪い事とは思っていません。それを問題視して罰するのは当局の仕事でしょう。私が考える事ではありません。

ただ私は、私が過去10年働いているSEM業界、SEO界隈にいる者として許しがたいことと思っています。

検索結果からの情報削除の方法は、ある程度SEOの経験がある方でしたら今回の7つ以外もご存知でしょうし、証拠が残ったりしないもっとスマートな方法があることもご存知でしょう。 SEOに習熟した人は悪質な形に検索結果を歪めることができます。インターネットのインフラとなった検索を簡単に壊すことができます。 しかし最低でも私の周りのまっとうなSEOの人はやっていいことと悪いことの区別は付いていますので、悪質な行為は行っていません。 検索結果を悪質に歪める行為は、自分たちが生活するインターネットを壊す行為ですから。

今回の事だけではなく、過去に行った悪質SEOでの商売違法性疑われる事を行い、その評判を封殺し続ける事。 封殺する方法も脅迫などの悪質な形で、「SEO界隈は恐ろしい」という印象を多くの方につけたことはスルーするべきことではないと考えています。 今回、このように騒動を公開するのは、更に恐ろしいという印象を付けてしまうことになるかもしれませんが、最低でも今後、被害者を減らすことはできるかと思います。

検索エンジンのガイドラインに違反したブラックハット「黒の行為」に対しては、検索エンジンが対処を行っていくものです。 しかしガイドラインではなくモラルに反した「悪の行為」ことに対処できるのは検索エンジン側ではなく同業界の我々だとわたしは考えています。

私が望む事は、私も所属する日本の検索エンジンマーケティングの業界から悪質な事を行う会社が少しでも減ることです。

同業の皆様へ伝えたい事は、どうか「消極的にでも悪質なことが行いづらくなる方法を考えていただきたい」ことです。 特にSEOにある程度知見のある方でしたら、今回の説明をせずとも、ネット上の情報は色々な方法で消せる事、悪行の履歴を消すことが十分に可能なことはご存知でしょう。 そして、それに気付いて問題提起出来るのも同業の方だけだと思います。

積極的に行うべきとは申しません。 今回説明してきましたように積極的に動くのは普通の会社員にはリスクが大きすぎますし、フリーランスや社長の方々にも面倒な事です。しかし消極的にでも出来ることは有るはずと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。